ミニ・ファースティング(半日絶食)の方法


  全国で唯一の公的断食専門施設・五色県民健康村健康道場で、37年間、3万人の方々に指導した経験から、つくりだしたミニ・ファースティング(半日断食)の方法です。

  ただ、簡単なように見えましても、意外な危険もありますので、健康道場で、正式な医学的断食療法を:経験し、自分に合った方法を理解してからされることをお勧めします。


◆ミニ・ファースティングの方法

1食を抜く場合 休日の朝食の代わりに牛乳1本と薄いお茶か水700cc
2食を抜く場合 休日の朝食の代わりに牛乳1本と薄いお茶か水700cc
昼食の代わりに牛乳1本と薄いお茶か水700cc


  牛乳は低脂肪のもののほうが良いですが、なければ普通の牛乳を使ってください。体力のない方や60歳以上の方は、10時と3時に、お豆腐や果物を追加してください。牛乳が嫌いな人は、豆乳でもフルーツジュースにしてください。

  お茶か水は、一度に飲むのではなく、何回かに分けて飲んでください。

  ミニ・ファースティングは、1食か2食絶食するだけですから、安易に考えられると思いますが、けっしてあなどらないでください。以下にファースティング中に起こる身体の変化とミニ・ファースティングの注意点を説明します。

  たかが1、2食のミニ・ファースティングをするのに、そこまで詳しく知らなくてもと思われる方もおられるでしょう。しかし、自動車の運転と同じです。車の構造、交通規則、それらを理解して運転するのと、自分の経験だけで運転するのとは、安全性も違いますが、気持ちの落ち着きも違います。

  ファースティング中に起こる身体の中の変化をよく理解されると、ミニ・ファースティングをしているとき、今身体の中で何が起こっているのかが分かります。

  安全という面で良いのは勿論ですが、身体の変化を感じられ、何となく感動します。生きている実感を感じやすくなります。ミニ・ファースティングは期間が短いだけに、このように意識的にすることが大切だと考えています。


◆エネルギーの面から

 Cahillという人の研究によれば、標準体重が70Kgの人のエネルギーの貯蔵量は、糖質であるブドウ糖やグリコーゲンで840Kcalです。一日2000Kcal消費するとすると、半日分ぐらいです。

  蛋白質は24000Kcalで、約12日分です。脂肪では実に135000kcalですから、67.5日分になります。合計すると約80日分あるということです。

  これは標準体重の人の場合です。肥満というのはこの上にさらに脂肪がプラスされています。10Kg肥満しているというのは、脂肪組織は30%が水分と仮定すると7万kcalですから、プラス35日分、20Kgの肥満は実に70日分のエネルギーを余分にもって生きていることになります。

  どこかで遭難して2か月後に発見されたとき、ようやく標準体重に戻っていたということです。勿論、これは緊急事態ですので、命の保証はありません。

  ただ、このようなデータから、いかに体重を減らすということが難しいかということがご理解頂けると思います。


◆脳細胞は甘党

  ファースティングに入り、半日以上経過するとブドウ糖はもうありません。残るエネルギー源は、筋肉の中にある蛋白質か、おなかの周りの脂肪組織です。

  一方、脳の神経細胞とか、赤血球、白血球はブドウ糖で生きています。どんな状態になってもブドウ糖がいります。これがないと意識がなくなります。脂肪だけでは生命を保てないのです。

  そこで、筋肉を分解してアミノ酸にして肝臓でブドウ糖をつくり、最低の血糖のレベルを維持しているのです。これを糖新生と言います。このブドウ糖が脳の神経細胞へ行って使われます。

  この糖新生をするのは誰でしょうか。副腎からでてくるコルチゾール(糖質ホルモン)が、この重要な役割を演じます。アトピー性皮膚炎やネフローゼ、膠原病などの治療で有名なホルモンです。

  薬かと思っていた方もあるでしょうが、日々私たちの腎臓の上にある副腎から分泌されています。だから、ファースティングというのは、自分の身体からでる糖質ホルモンを使ったステロイド療法だということも言えます。

  こうして、どんなに血糖は下がっても、50〜60mg/dlで止まります。素晴らしい調節です。

 しかも、長期のファースティングになれば、神経細胞は次に述べる脂肪から作られるケトン体を食べることができるので筋肉の消費が少なくなります。

  このように、ファースティング中の血糖は、筋肉由来の蛋白質から作られたものです。血糖がちょっと低いから、計算のスピードが落ちたり難しい本は読みにくいです。そのかわり感性が冴えてきます。緑が綺麗に見え、鳥の鳴き声が新鮮に感じ、空や海の広がりに感動します。


◆ケトン体

  一方、心臓、腎臓、筋肉、このような臓器は脂肪を利用できます。おなかの脂肪が分解され遊離脂肪酸となって血液中に入り身体中を回りますが、この遊離脂肪酸を食べることができます。あるいは遊離脂肪酸が肝臓で変化したケトン体を食べます。このケトン体がたくさん生産されると尿に出てきます。


◆自律神経系

  アドレナリンやノルアドレナリンといった自律神経系のホルモンも活性化してきます。

  自律神経系の役割は、ファースティングの初日に蓄えられていたグリコーゲンを分解して、ブドウ糖をつくります。その後は、おなかの周りの中性脂肪を切り出して遊離脂肪酸にし、血液中に運びます。

  それから、ファースティングは食塩を尿から失うので水が一緒について出て少し脱水気味になります。ほうっておくと血圧が下がりすぎますので、心臓の収縮回数を増やすのと、体中の細い動脈を縮めて最低限の血圧を保つようにします。

  正常血圧の方はファースティングをしてもあまり血圧が低下しないのは、一つはこのホルモンのお蔭です。もう一つは、後で出てくる腎臓のレニンというホルモンのお蔭です。


◆甲状腺ホルモン

  ファースティングに入ると、生命体としては一日でも長く生き延びたい。そのため基礎代謝を下げて消費カロリーを低くします。自動車で言うと排気量が2000ccの車が1600ccになるようなものです。

  基礎代謝をコントロールしているのは甲状腺ホルモンですから、甲状腺ホルモンの活性を下げようとします。

  通常は、T4というホルモンからT3というホルモンを作ります。このT3というのは、作用が非常に強力です。しかし、ファースティングに入るとT4から、リバースT3というホルモン活性が殆どない物質を作り、肝心のT3が出来ません。

  このように甲状腺ホルモンの活性が下がり、基礎代謝も下り、体重は落ちなくなるということになります。


◆ファースティング−食塩の面から

  いままでは、エネルギーの面からお話してきました。こんどは、食塩の面からです。普段は10gちょっとの食塩を食べて、それと同じぐらいの量が尿から出ています。

  もしファースティング中も、同じように尿から食塩が出たら、数日の内に私たちは死んでしまいます。それでは困ります。


◆アルドステロンとレニン

 それでどうするかということですが、アルドステロンというホルモンが働きます。

 アルドステロンは副腎から分泌される電解質ホルモンで、尿中から食塩を再吸収します。ファースティング中は、このアルドステロンの分泌が非常に多くなり尿に食塩は出なくなります。

  ただ最初の数日はまだこのホルモンの分泌は多くならないので、その間は尿から食塩が漏れます。

  次にレニンです。

  これは腎臓から分泌されるホルモンで、血圧が下がると沢山分泌され血圧を上げます。同時に副腎を刺激してアルドステロンも分泌させ、食塩を失わないようにするのです。それ以上脱水になって血圧が下がらないようにするためです。

  食塩はナトリウムとクロールの化合物ですが、摂取したナトリウムと尿から排出されたナトリウムの差で見ると、最初の4日間ぐらいは、入った量よりも尿中に失った量のほうが多くマイナスになっています。

  ナトリウムと一緒に水がついて漏れるので脱水が起こります。しかし、その後は入ったナトリウムと出た量は殆ど同じになり、脱水は止まります。

 ですから、ファースティングの最初の数日の体重減少の大部分は脱水です。脱水になと血液が固まりやすくなります。動脈硬化のある方ですと、心筋梗塞や、脳梗塞を起こす可能性があります。

  水を摂取しても食塩がないので脱水を止めることはできませんが、水を飲まなければもっと脱水になります。このため、水を最低でも2000cc摂取するようにしているのです。


◆怖いのは不整脈

  ファースティングの医学管理の中で最も注意をしているのが心室性不整脈です。

  ファースティング中は、身体の脂肪を分解し血液中に遊離脂肪酸が増えてきます。自律神経系も興奮しています。さらに、塩分も取りませんので、尿中から塩分が失われます。この3つは、心室性不整脈を最もおこしやすい状態です。

  ファースティング前に、不整脈がないからと言って安心はできません。ファースティング中に突然発生することは決してまれではないからです。

  心臓に異常がなく、1分間に5個程度までの心室性不整脈は無害であると考えられています。しかし、この場合もファースティングをすれば、多発してくる場合が多いので、ファースティングの対象にはしていません。不整脈のある方は、ミニ・ファースティングもしないでください。


◆ファースティングのときは運動は禁止

  ファースティング中に運動すると、さらに不整脈の発生の危険が増えます。ミニ・ファースティングのときも運動は禁止と思っておいてください。するとしても、軽い散歩程度にしてください。早足ではなく、ぶらぶらとしながらのゆっくりとした散歩です。運動というよりも気分転換と考えてください。

  特に激しい運動は決してしてはなりません。「激しければ激しいほど効果が上がるだろう」と思って無茶をしようとする人がありますが、これは死の危険があります。

  また、ゴルフのパターなどは、運動としては軽いものですが、精神に緊張しますので不整脈が発生しやすいですのでしないでください。


◆消化管出血

  もう一つファースティングで怖いのは、胃や十二指腸からの出血です。

  理由は、ファースティングは生体にとって強いストレスです。ストレス潰瘍ではないかと考えています。

  ですから、ミニ・ファースティングをするときも、腹痛のあるときは決してしないでください。特に空腹時に腹痛がある時は、胃十二指腸潰瘍の疑いもありますので、病院で検査を受けてください。


◆ミニ・ファースティングは1食か2食にとどめる

  絶食するのは朝食か昼食、あるいはその両方が良いと思います。夕食は辛いと思います。女の方だったら家族の食事の支度をしなければなりません。

  夕食は準備も大変ですから、「なぜ私だけが空腹で食事の支度をしないといけないのか」と思うと腹が立ってきたり、男性も「こんなに仕事で頑張っているのに、夕食も食べられないのか」と思うと情けなくなり、かえってストレスになります。

  「私は体力には自信がありますので、自宅でも3日間程度はできるのではありませんか」という質問をよく受けます。しかし、ファースティングの身体中の変化は、最初が最も強く不安定です。不整脈の発生も起こりかねません。決してあなどってしないでください。

  1食か2食のミニ・ファースティングであれば、復食は特に考える必要はありません。その意味からも、1,2食のミニ・ファースティングがお勧めです。


◆脱水に注意

  それから十分水を飲んでください。水を飲まないと脱水になります。一食のミニ・ファースティングの時も、700cc程度は飲んで下さい。

  普段は、ご飯やおかずに水分が含まれています。お茶やコーヒーもいれて、1日に2000ccほどの水分を摂取しています。水は、体の老廃物を溶かして尿中に排泄するのに必要です。それと、ファースティングの影響で、最初は尿量が増えて脱水になります。

  脱水になれば、動脈硬化の進んでいる人は、脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険があります。十分の水分補給をしてください。

  最初は、尿中からは水を伴ってかなりの量の食塩がでていきます。つまり、最初の数日はどんなに水分の補給をしても、脱水傾向になります。

  そのとき、水分の補給もしなければ、著しく脱水状態になるのは当然です。このことを十分頭に入れておいてください。「体重が減った」と喜ばないでください。まして、「水分をとらなければ体重の減少も大きい」と意図的に水分をとらないのは無謀なことです。

  また、ミニ・ファースティングをしている時は、サウナへは入らないでください。汗をかけば、ますます脱水します。運動をしても消費カロリーはごくわずかです。なのにサウナで座っていて体重が減るはずはありません。減った体重は脱水によるものです。

  体重の測定法も間違っている方が多いので付け加えておきます。正しい体重の測定法は、朝起きて水や食事をとらず、大便や小便も出した後で、体重計に載ってください。

  コップ1杯は180ccほどですから、1杯の水を飲むと180g重くなります。膀胱に一杯尿がたまると500ccほどになりますから、おしっこをためたまま体重計に載ると、その分重いのは当たり前です。


◆カロリー補給をする

  ファースティングにはいると、最初に糖分が使われます。ただ、この糖分は半日分しかないので、1食か2食絶食したときに、軽い低血糖発作がきます。空腹になり、力が抜けて、冷や汗がでて、倒れそうになる。そのような症状です。これが皆さんが日常生活で体験している飢餓感です。

  しかし、この時期が過ぎるとたんぱく質や脂肪を使って生きていきますので、エネルギーはたくさんあります。もはや空腹感や脱力感はなくなります。ですから、医学管理をしたファースティングはつらくないのです。

  ただ、ミニ・ファースティングは、一番辛い低血糖の起こる時期だけをすることになるので注意が必要です。ミニ・ファースティングを水だけでするのと、少しでもカロリーや塩分を補給するのとでは、つらさが全く違います。

  つらさを経験するためにするのではなく、原点に返る、「私は生きている」という実感を感じるのが目的です。さらに、毎週するには、安全で少しでも楽にできる方法でなければなりません。牛乳や豆乳、フルーツジュースでカロリー補給をしてください。


◆意識的に行う

  大切なことがあります。これはミニ・ファースティングをするときの気持ちの面です。それは「今、ミニ・ファースティングをしているんだ」ということを自分に言い聞かせることです。

  これが抜けると殆ど効果がありません。忙しくて一食、二食抜くことはよくありますが、それと同じことになりほとんど精神的な効果がでなくなります。

  「今やっているんだ、やっているんだ」と自分に言い聞かせると、ぐーっと身体が熱くなってくきます。緊張感が出てきます。ミニ・ファースティングの効果がでるかどうかは、実にこの点にかかっていると言っても過言ではありません。

  そのとき「今、ミニ・ファースティングをしているのだ」と意識をすれば、頭は食べ物のことで一杯になります。

  少し空腹になれば、体は活性化しますし、ストレスも消えます。人生において何が大切なのかがわかります。「地位も名誉もダイヤモンドも食べられません」ということが体得できます。

  豊かな時代になったのに自分を縛っていたものがよく見えます。ビスケット1枚あれば幸せになれるということが分かります。

  それは、道徳でもやせ我慢でもなく実感です。歓びです。自由と開放感が訪れます。「何もないのに、私は素晴らしい」という発見と体験です。

  ミニ・ファースティング中は、いろいろなことを考えず、できるだけ頭をカラッポにしてください。心身相関を考えていただければ分かるはずです。

  ミニ・ファースティングで身体的に活性しても、頭の中にストレスがあると自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫系がバラバラになり効果がでません。公園へ行って魚に餌をやるなり、花を見たりと、日常生活的でないことをしましょう。

  外へでるのが嫌なら、家の中でも結構ですし、あまり日常生活でないことにこだわるものストレスですから、テレビを見るのも良いでしょうが、とにかくのんびりと暮らしてください。

  ミニ・ファースティングをする日は、休みの日がいいです。休日の朝食を抜くのが一番楽です。もう少し長くというのなら、昼食も抜いて、夕食から食べるという方法です。わずか1食か2食絶食しただけでも、夕食の美味しさは感動的です。大げさではなくて生きている感動と歓びを味わえます。

  ミニ・ファースティングは休日にするというのは、安全の面からも効果の面からも大切です。

 1、2食絶食をすると血糖がさがります。血糖が少し下がると難しい計算や判断はしにくくなります。いろいろなことを考えるのがおっくうになります。

  過去の思い出や将来の不安、人間関係のストレスを忘れさせてくれる効果を持ちます。理性的な面が落ちる反面、感性は冴えてきて、鳥の鳴き声や草花の美しさに感動できます。

  この血糖の低下は、運動神経にも影響を与えます。反射運動が少し低下します。ハンドル操作や判断が遅れますので、ミニ・ファースティングをしているときは、自動車の運転はしないでください。

  効果の面からも、休日がお勧めです。せっかくミニ・ファースティングをしているのに、仕事をしていては頭は仕事で一杯です。開放感も爽快感も来ません。ただの我慢大会で終わります。

  ゆっくりとした気持ちで生きる日にしてください。日頃は忘れていた感性の世界を感じやすくなっていますので、いろいろなことを理解するのではなく、感じ取る日にしてください。

  「自分は生きている」という実感を感じることが大切です。ミニ・ファースティングの目的は、「自分体験」、「原点体験」をすることです。


◆減量のためにはしない

  ミニ・ファースティングは、生きている歓びのためにしてください。決して、減量のためにはしないで下さい。一食、二食抜いても、減量には役に立ちません。

  単純計算でおなかの周りに付いた脂肪1kgは、約7000kcalです。1食か2食の絶食をしても、せいぜい1000〜1500kcal減らしただけです。体重が減少するはずはないのです。

  ミニ・ファースティングでも体重はかなり減少します。しかし、それは先ほど説明したように、減った体重の殆どは脱水です。


◆生きている感動と歓びのためにする

  精神的な効果を目的に行えば、短くても効果があります。たとえ1食か2食のミニ・ファースティングも、精神的効果は期待できます。

  ただ、精神的効果というと厳しい精神修養をして強い人間になるというイメージがありますが、それでは生き生きとした生命を否定して石や枯れ木になろうとするようなものです。

  私たちは大きな生命の世界の中で生きています。生命を否定して何があるというのでしょうか。石や枯れ木にならないでください。

  ファースティングの目的は、それとは180度違います。「何もないのに、私は素晴らしい」という体験です。生き生きとした自分を感じ、あふれる充実感と強力な生命力を高めるためです。歓びと感動のためにする、くれぐれもこの点を間違えないでください。


◆毎週する

 1週間に1度、ミニ・ファースティングをしましょう。結果が良くても悪くても関係なしに、繰り返しましょう。くり返すことが重要です。くり返しているうちに、なんとなく充実感と生命力の高まりを感じる日があります。「あっ、これだな」と分かると一歩前進です。「あっ、これだな」を積み上げていくことです。

  行う曜日は、日曜日とか決めておいたほうが効果的です。1週間にリズムがでてきます。曜日を決めるということも、意識的に行うことに入ります。1週間に程良い緊張が生まれます。

  ただ、「日曜日はすべてゴルフだ。あいている日は....。あいている日はない」という方は、是非一度考えてください。ゴルフのために人生があるのか、本当の自分を生きるために人生があるのかを。


◆タバコは吸わない

  タバコは神経系に悪影響を与えます。ミニ・ファースティング中にタバコを吸うと、不整脈を誘発したり、胃十二指腸潰瘍を引き起こすおそれがありますので決して吸わないでください。

  本式のファースティングでは、簡単に禁煙ができます。世界で一番簡単で楽な禁煙方法だと思います。止めるというよりは、タバコを忘れるという感じです。 

  ミニ・ファースティングも、同じように禁煙の良い方法になります。タバコがほしくなったら食べ物のことを考えてください。食べ物への気持ちのほうが遙かに強いですので、タバコを忘れられます。


◆薬を飲んでいる人はどうするか

  1.お粥による低カロリー食にする
  2.健康道場に体験入所する

  薬を飲んでおられる方は、ミニ・ファースティングの対象にはなりません。お粥による低カロリー食をお勧めします。

  ただし、この場合も一度健康道場に体験入所して、自分にあった方法を理解することをお勧めします。「1食か2食、しかもお粥ではないか。そんなに神経質にならなくても」と思われるでしょう。しかし、健康医学とは、そうしたものなのです。

  ここでは、一般的な注意点のみ述べます。糖尿病で血糖降下剤を飲んでいる人は特に注意をしてください。お粥による低カロリー食でも血糖は低下します。

  その上に血糖降下剤を飲めば低血糖発作を起こします。最悪の場合は意識がなくなり生命の危険性もあります。高血糖よりも低血糖のほうが危険ですので血糖降下剤は中止してください。 

  一方、高血圧の方は、降圧剤を中止すると血圧が上がりますので、降圧剤は中止できません。お粥による低カロリー食は、食事の量が減り、塩分の摂取も減ります。血圧も低下しやすくなります。上がるのも困りますが下がりすぎるのも困ります。

  そのため、高血圧の強さと服用している薬の種類によって判断しなければなりません。

  これに対して、尿酸やコレステロールを下げる薬は急には影響しませんので服用して良いでしょう。その他にも、さまざまな病気と薬がありますので、やはり一度健康道場に入所されるのが良いと思います。

  なお、ファースティングによりGOTとGPTが一過性に少し上昇します。復食後は元に戻るので健康者であれば心配はいりませんが、B型肝炎やC型肝炎がある場合はミニ・ファースティングはしてはなりません。ミニ・ファースティングが行って良いのは脂肪肝、アルコール性肝障害の場合です。
 

◆風邪で発熱しているときはしない

  風邪で発熱しているときは、どんどん汗で水分が失われています。このときミニ・ファースティングをするとさらに水分が失われて危険です。

  風邪をひいたときには、梅干しやかつお節にお粥を食べるというのが日本では一般的ですが、よくできた処方だと思います。さらに、発熱は風邪とはかぎりません。発熱が初発症状だという病気はたくさんあります。熱のある状態はミニ・ファースティングの適応ではありません。


◆体力のない方はお粥で

  薬を飲んでいる方の他に、体力のない方もミニ・ファースティングが適当ではありません。ただ、一口に体力といっても難しいです。目安は、二階まで駆け足で登れる程度といってもいいでしょう。ゆっくり歩いては登れるが駆け足は無理だという方はお粥による低カロリー食にしてください。

  ミニ・ファースティングは多少とも筋肉を失う方法です。体力のある方はすぐに取り戻せるので問題はありませんが、体力のない方はあえて無理をする必要はありません。


◆何歳までなら可能か

  年齢も難しいです。同じ年齢でも、身体の状態は大きく異なるのが普通です。先ほどの二階まで駆け足で登れるかというのが、ひとつの目安になるでしょう。しかし、どんなに元気でも60歳を越せばお粥による低カロリー食が安全です。

  特に心電図などに変化がなくても、ある程度の動脈硬化があると考えておかなくてはなりません。動脈硬化がある人が脱水になれば、脳梗塞、心筋梗塞が起こるおそれがあります。ミニ・ファースティングのように脱水を起こしやすい方法は避けるべきでしょう。


◆何歳以上なら可能か

  今度は逆に年少者の場合です。何歳になれば可能かという問題ですが、中学以上なら良いと思いますが、ここで何のためにするのかを考えてください。現代の若い世代が、生きてる実感や歓びを失っていることは事実だと思います。

  その結果、過食症や自律神経失調症、無気力・無感動などに陥っている方が少なくないように思います。このような若者にファースティングは、最適かもしれません。

  ただ、ミニ・ファースティングは自分でしようと思わない限り効果がありません。親が心配して無理矢理勧めても、苦痛なだけで逆効果です。お父さん、お母さんが、自分のためにまずしてみてください。

  親が本当の自分を生きる感動と歓びを取り戻せたら、子供は自然と変わります。それ以外に有効な解決法はないと私は思っています。決して無理強いしないでください。


◆復食

  1食や2食のミニ・ファースティングですので、復食は自由に食べていただいて結構です。ただ、柔らかで塩分控えめの日本食がいいです。